NARUNARU

イベントレポート|食と参加型コミュニティー「Communal Dinner 」 ローンチ記念イベント

2025/06/19

NARU

今回は先日6月1日に開催された「Communal Dinner Party 2025」のイベントレポートをお届けします。

コミュナルディナーは知らないひと同士が同じテーブルにつき、食を通して会話や共通の時間を楽しむ食体験「コミュナルダイニング」にちなみ、開催しているNARUの新プログラムです。

2月25日の開催を皮切りに、これまで計11回、約150人以上の方にご参加いただいたこのプログラム。
今回はこのプログラムのローンチを記念した「Communal Dinner Party 2025」を開催しました。

当イベントはイベントが目指す姿について対話を深める「ダイアログパート」と一緒に作ったご飯を会話をしながら楽しむ「ディナーパート」、二部構成の特別プログラムとして開催しました。

会場には、2月末から4月までに開催されてきたプログラムで作られた料理や参加者の雰囲気が伝わるイベント写真を展示した他、各回の参加人数やメニュー、工夫したところなどをまとめた用紙も掲示しました。

そして、コミュナルディナーの企画・運営に携わり、当日の調理補助にも携わるコミッティーと呼ばれるボランティアメンバーのリアルな声をまとめた「Committee’s VOICE」も展示。

これまでどんな会が開催されてきたのか、どんな想いで場を作っているのか、ご来場いただいた方に伝わるような空間を演出しました。

ここからは当日のイベントの様子をタイムラインごとにご紹介していきます。

チェックイン

開場してから、参加者の方々がぽつぽつと集まってきた15:30頃、みなさんで自己紹介を兼ねた簡単なアイスブレイクタイムがスタート!

「呼ばれたい名前」や「今日期待していること(たのしみにしていること)」、「最近のプチハッピー」を共有。これから調理から食事まで共にする方々同士で、相互理解を深め、会話を楽しんでいただく時間としました。

いつものコミュナルディナーでも、最初にチェックインとしてこの時間を設けて、参加者同士のコミュニケーションを大切にしています。今回も席替えを何度かしながら、参加者の方同士が交流する時間をたっぷり設けました。

早速、はじめまして同士の人たちの中で、意外な共通点を見つけ合ったり、今日イベントに参加したきっかけをシェアしたりして、会場は盛り上がりつつ、次のセッションへ!

夜のディナーに向けて調理中のキッチンからは仕込み中の料理のいい香りが空間に広がり始めました。

ダイアログパート

参加者の皆さんにもテーブルから、隣のスペースに設けられたダイアログスペースに移動してもらって、早速次のダイアログパートが始まります。NARUのスタッフから、この施設についての簡単な紹介があった後、今日のイベントのテーマでもある「コミュナルディナーが目指す未来」、「食と参加型コミュニティの可能性」の観点から、ゲストの方々と共に、場のデザインや食を通した交流のあり方について対話を深めました。

メインシェフ 杉山大樹(すぎやん)| すぎ山食堂 代表、料理長 教育・コミュニティ領域中心の個人事業主。 「すぎ山食堂」として、自宅や友達のお宅・オフィスに出張してホームパーティーを開催し、10年間続いています。 良い友達の胃袋をたくさん掴んでいるので、世の中がどうなっても生き残る自信があり!

今回のメインシェフでもあるすぎ山食堂代表の杉山さんは、かれこれ10年以上手作りの料理を作って知り合いの方々に振る舞っているといいます。

特別な味付けをするのではなく、実家のお母さんの味を思い出すような素朴なおいしさを目指しているということで、ファンやリピーターも多いようです!

ゲスト 髙野広海(たかの ひろうみ)|一般社団法人ASIBA/東京大学工学部都市工学科 ASIBAにて東京都区部自治体とのコラボレーションをはじめ幅広いプロジェクトに参画。 若年単身者の住まいを専門とし、ワンルーム住宅・シェアハウスについて研究と実践を往復しながら活動している。

ASHIBA

一般社団法人ASIBAは、建築都市・デザイン・アートといったクリエイティブ領域の若手が社会での実践に取り組むためのプラットフォーム。
行政・企業・地域と連携しながら、ワークショップやアワードプログラム、インキュベーション、スタートアップスタジオなど多層的なプログラムを展開しています。誰もが機会格差を感じることなくクリエイションに取り組める社会を作ること、そして複雑化する社会に対するクリエイティブな実践と解決を増やし、社会の作り手としてのクリエイション文化を育むことを目指してます。


今回、主に国内外の「食とコミュニティ」の事例についてシェアしていただく一般社団法人ASHIBAの髙野さんは、大学で若年の単身者向けの住まいについて研究を深めている一方で、ご自身は普段シェアハウスに住んでいるといい、様々な形態の暮らしのあり方に広く関心があるそうです。今回は、食を通したコミュニティの仕掛けや、地域への広がりにまつわる事例をご紹介いただきました。

今回、杉山さんには開場したときからメインシェフとして調理準備をして頂いていましたが、このダイアローグパートでは一旦手を止めてご登壇をいただきました。

杉山さんのお話の中で印象的だったのが「食材調達をする中では、スーパーの意思を尊重しており、食材から今日これを買って欲しいという意思表示がある」というお話。

いつもすぎ山食堂で料理を提供する際には、その日の旬の野菜や、おすすめされている生鮮食品など、スーパーの意思に基づいて食材を調達し、材料から料理のレシピを検討し、実際に調理を始めるそうです!

一方で、今回のコミュナルディナーのローンチパーティでは予算の制限や、料理のアレルギーなどに対応すべく、メニューを事前に決めておく必要があったので、杉山さんにとっても挑戦だったようです。

「今日のメニューは、得意料理でもあるニンニクの芽を活かした、ご飯が進む炒め物を用意しているので、お楽しみに!」とお話しをされ、また調理準備のため、キッチンへと戻っていきました。

杉山さんが調理に戻られた後は、一般社団法人ASHIBAの髙野さんからスライドを用いたキーノートスピーチを行っていただきました。

具体的には、一般社団法人ASHIBAの紹介や、国内外の食と都市開発の事例について共有をしていただき、コミュナルディナーの取り組みが地域コミュニティへどのように貢献していくかの展望についても触れていただきました。

発表の中では、台湾の夜市が地域の人々の外食文化に密接に関わっており、地域の人々同士での交流が生まれている光景や、オランダのロッテルダムに位置する巨大な住居と一体になった市場で暮らしと食の距離が近いことで有名なマルクトハルの事例をご紹介頂きました。

また、国内のフードスケープ(食と紐づいた景観のこと)の事例として日本では畑が街の中にあたりまえに点在していることが海外から見ると異様であること、国独自の土地利用の発展がされてきたことのご紹介がありました。

国内外問わず、まちと密接に紐づく食のコミュニティは、人々の文化と暮らしの土台となっていることを実感しつつ、企画の発起人でもあるNARUスタッフ安藤からは、この「+NARU Communal Dinner」を通して日本橋の地域の食に関わる方々とコラボしたり、全国の生産者を訪れて声を聞き、その食材を調理するなど、もっと地域や人と繋がっていきたいという展望が語られました。

コミュナルディナーパート

ゲストによる発表と対談が終了し、会場は大きくセットチェンジ。少し休憩を挟んだら、ディナーパートに移ります。今日は、たくさんの参加者がいることもあり、全員で協力して調理を行っていきます。

調理のテーマは「みんなでつくる」。ランダムに選ばれた知らない人同士で、グループを組み、一緒におにぎりの具材を作りながら、交流する「おいしいおにぎり決定戦!」を開催!

おにぎりに合いそうないろんな具材をかけ合わせて、自分だけのオリジナルのおにぎりを握っていきます。「梅とおかか」や「しそとクリームチーズ」、「海苔としらす」など、各チームには見るだけで美味しそうな独創的なおにぎりが完成していきます。

作り始めたこの時点で、参加者のお腹はペコペコ。でも会場はこの日一番の盛り上がり!

握ったおにぎりを、大皿に並べると、多種多様なおにぎり達が、どうだ!と言わんばかりに、輝いていました。チームによっては、握らないおにぎりができたり、細巻きや寿司が完成し、味付けだけでなく、見た目にもクリエイティビティが発揮されていました。

みんなでおにぎりを握り終えたあとは、デザートとなる白玉も手作りで仕込んでいきます。
今回は、お豆腐と白玉粉で、みんなでコネコネしていきます。食後に黒蜜きなこを合わせて美味しくいただきます!

とっても美味しそうなおにぎりと白玉を作り終えると、杉山シェフ特製の料理たちもついに完成です。
ここからはイベント参加者もコミッティーメンバーも全員で、テーブルセッティング、配膳を行なっていきます。

そしてさあ、お待ちかねのコミュナルディナー本番が始まります!

ファシリテーターからコミュナルディナーのルールである「テーブルのものを取る時は誰かにお願いすること」「積極的に他の人の助けになること」の説明があり、その後杉山シェフからのメニューの紹介がありました。

気になる今日のメニューは、以下のようなラインナップに!

・みんなで作った美味しいおにぎり

・お野菜沢山の特製けんちん汁

・にんにくの芽と豚バラ炒め

・長芋のわさび漬け

・なすのさっぱり煮浸し

・チーズオムレツ

・レタスときのこのサラダ

・みんなでコネコネ白玉きなこ黒蜜

杉山シェフからの説明も終わり、

ついに!

いただきます!!

知らない人同士の共通の食の経験を通して、人と地域がつながる瞬間。
いつものコミュナルディナーとは少し違い、一緒に長い時間をかけて作って味わうことで、より達成感が生まれ、会場の一体感を感じたような気がします。

食事が落ち着いてきた後は、発起人のNARUスタッフ安藤から、この企画を実施した背景や今後の展望について改めて語られました。

「コミュナルディナーは、『食べること』が目的ではなく、『食を通じて人や地域とつながること』を大切にしています。ひと口ごとに広がる会話、新しい出会い、そして地域とのつながり。食卓はただのテーブルではなく、物語が生まれる場所。僕たちはそんな風に捉えています。」

今回のイベントでも、そんな景色がNARUに広がっていました。

当日は、全参加者合計35人という過去最高人数での開催となりました。

これだけ多くの方に参加していただいたのにもかかわらず、トラブル一つ起きず、配膳や料理の取り分けに関しても、声を掛け合いながら自然に協力し合う姿があちこちで見られ、

いつも通り、温かく楽しい、コミュナルディナーの雰囲気を作ることができました。

まさに「みんなでつくる」という今回のディナーパートのテーマを体現したひとときとなりました。

「気になっていたけど、これまでは仕事の都合で行けなかったから、来ることができて本当に嬉しい」「お腹も心もいっぱいになりました」「素敵な時間をありがとうございます」「またきます!」

ディナーパートも終了し、片付けをしながら、そんな声が飛び交っていました。

今後も毎週開催を目指して、コミュナルディナーは続いていきます。

誰かと食卓を囲みたい、と思った時にコミュナルディナーが選択肢になるような、そんな空間をこれからも作り続けていきます。

「Communal Dinner Party 2025 | コミュナルディナーローンチ記念イベント」にお越しいただいた皆様、参加してくださったゲストの方々、ありがとうございました。

もし、この記事を読んで関心を持った方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、コミュナルディナーに遊びにお越しください。いつでもお待ちしています!

Share

NARUNARU